【労働】 東京地方裁判所判決 令和5年2月3日

注目すべき争点

原告による秘密録音が違法収集証拠として証拠能力を否定されるか

    事案の要旨・当事者等

    事案の要旨

    • 本件は、原告が、被告に対し、被告の原告に関する言動等が職場いじめに当たり、これにより精神的苦痛を受けたと主張して、不法行為に基づき、慰謝料200万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和2年8月5日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。

    当事者等

    • 株式会社Aは、飲食店の経営、中華麺類の製造販売等を目的とする株式会社であり、中華・ラーメン店「B△△店」(本件店舗)を運営している。
    • 原告及び被告は、Aの従業員として、本件店舗において勤務していた者である。

    規範・あてはめ

    • 被告は、平成29年3月14日及び同月28日の各会話を録音した媒体及びその反訳書について、違法収集証拠に該当するから証拠能力がないと主張するが、上記録音媒体は、原告が、本件店舗の従業員が共同して使用する本件店舗の休憩室での会話を、被告が知らない間に録音したというにとどまり、その録音の手段・方法に照らして、著しく反社会的な手法で人格権を侵害して取得されたとまでは認められないのであり、証拠能力は否定されないというべきである。
    • 以上によると、被告による不法行為は認めるに足りず、争点に関する原告の主張は、採用することができない。

    担当裁判官

    水橋巌裁判官

    判決掲載媒体

    労働判例1312号66頁、判例秘書(L07830649)

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